今回のレポートを担当させていただく谷元フスマ工飾株式会社の谷元 亨です。
今回の工場見学会は、福井県、越前和紙の見学でした。
手すき和紙や織物の工場見学というと、業界の方なら一度は行かれたご経験があるかもしれません。 手作りの良さを大事にしていたり、独自の技術に自身を持っていたり、 こんなにすごい物があるんだと胸を張っている様なイメージを、私も持っていました。
今回お伺いした3社、椿原織物様は織物の機械が数十台ある大きな工場をお持ちですし、 清水内装様も織物を裏打ちする大きな機械があります。
また、長田製紙所様は昔ながらの手すき和紙の手法を守りながらも新しい技法やデザインを取り入れておられます。
それぞれの会社で見せて頂いた技術は成程素晴らしく、感動もして、和紙や織物の良さを再認識させて頂きました。
ですが、それ以上に衝撃的だったのが、「数の減り方」です。 それぞれ15-20年前と比べて三分の一以下に数が減っているというのです。
マンションや戸建ての和室が減っているのは私たちも体感していますが、ちょっと高級な、特別な和紙がそれほど減っている感覚はあまりありませんでした。
理由はそれぞれあるでしょうし、そうでない産地もあるかもしれませんが、とにかくびっくりしました。
その様な現実を目の当たりにして、いま私たちの世代がやらなければならないことは、「和室を格好良くする」ことだと改めて思います。
和室を格好良くして、そのライフスタイルにファンを作らなければ、業界の先行きはますます細ってしまいます。
長い年月をかけて積み重ねてきたものなのに、私達が上手く使えていないだけで、それらの技術が再起不能になってしまっては取り返しがつきません。
まだ手遅れではないと信じて、現代の和のライフスタイルを提案して行かなければなりません。
よしやってやるぞと、蟹と酒に溺れながら、日本海の荒波に向かって誓いました。
平成30年
谷元フスマ工飾(株)
代表取締役 谷元 亨